2017年10月18日 (水)

ニースの港

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  印象派の女流画家ベルト・モリゾの代表的な風景画作品のひとつ『ニースの港』。

  本作は画家が娘ジュリーの病気療養として滞在(1881-1882年)したフランスの南東部に位置する都市で、温暖な気候でも知られる≪ニース≫の港を描いた作品である。娘ジュリーが言葉に残しているよう、船(ボート)の上から港の方を見た視点(その為、波の影響により画面が僅かに右へ傾いたと考察されている)で描かたことが知られている本作は、画面の2/3が海面で占められており、如何に画家が船の浮かぶニースの海面の描写、表現に興味を惹かれ制作されたのかが示されている(それは画面左上へささやかに配される空の描写にも表れている)。

  特にモリゾ独特の荒々しく自由闊達な筆触による波の表現や、水面に映り込むニースの街並みや風景の抽象的表現は印象派の画家の中でも非常に前衛的であり、かつ類稀な独自性をも兼ね備えている。

2017年9月21日 (木)

陽光が射し込み光り輝く家の壁

 中央へ集まる観る者の視線。シスレーはアルジャントゥイユに滞在していた時に4点ほど作品を制作しており、本作もその一例であるが、中央に焦点が集まる一点透視図法を用いた遠近感が、観る者の視点を自然と画面の中心へと向けさせる。

 陽光が射し込み光り輝く家の壁。この画面全体の光の描写や複雑な色彩を帯びた空の色彩表現は、この時期の作品の中でも特に秀逸の出来栄えを示している。なおワシントン・ナショナル・ギャラリーにアルジャントゥイユを描いた別の作品『アルジャントゥイユのエロイーズ大通り』が収蔵されている。
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 遠景に見えるノートルダム聖堂(教会)の尖塔。本作はシスレーが当時パリ市内で起こったパリ・コミューン(労働者階級の自治による民主国家)を避けルーヴシエンヌやアルジャントゥイユ、プージヴァルなど郊外へ疎開していた頃(1871-74年)に制作された約130点の作品の中のひとつである。

2017年9月11日 (月)

何度も注意したのに妻は…

  近年の中東イスラム圏において最も厳格、まさに右派のムスリムを謳う男たちが支配しているのがサウジアラビアである。2015年になってやっと女性の地方議員が誕生したが、国政参加はまだ認められていない。男尊女卑が半端ではないこの国から飛び出したある夫婦の離婚の話題が今、世界のメディアの関心を集めているようだ。パキスタンの『The News International』もそれを伝えた一社だが、封建的で男尊女卑の結婚観がよく非難されるパキスタンの人々もこの離婚の話題には呆れているという。
  国民のほとんどがイスラム教徒とはいってもトルコ、エジプトなどはマイルドイスラムとして欧州の文化をかなり取り入れており、インドネシアやイスラム教が国教のマレーシアでも旅行中にムスリムからの強い拒否感を受けることはまずない。一方、古くからのイスラムの教えや慣習にあくまでもこだわるサウジアラビアでは女性は運転もできず、ほとんどの学校で体育の授業に参加できない。そのうえ家族以外の男子、男性と会話できないため縁談は親や兄、親類が持ってくる。理不尽な理由で常に抑圧されている女性たちを案じ、国際的な人権擁護団体が常に監視と抗議行動を繰り返している状況だ。
  これだけ女性の権利を奪っておきながら一夫多妻制まで認めているこの国では、男性の浮気はむち打ちで済むが女性のそれは死刑か終身刑となる。このたびの話題はまさに男性天国ともいえるサウジアラビアの日刊紙『Al Watan』が伝えたもので、夫(氏名などは明らかにされず)は「私が繰り返し注意したにもかかわらず、妻はそれを守らなかった。だから離婚を決めた」と主張しているとのこと。それは妻が彼の横や前を歩くこと。女は男の数歩うしろを歩くものと信じてやまない夫にとっては我慢ならない行為であったそうだ。

2017年8月31日 (木)

アルジェのアラブの祭日(モスク)

  印象派の巨匠ピエール=オーギュスト・ルノワールを代表する風景画作品のひとつ『アルジェのアラブの祭日(モスク)』。

  本作は画家が1881年に旅行したアルジェリア滞在時に同地で制作した数点の作品の中の一枚で、やや高位置の視点からアラブ(アラビア)の祭りの様子を描いた作品である。
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  本作はルノワールが多大に影響を受けていたロマン主義の大画家ウジェーヌ・ドラクロワへの敬意や献辞を示した作品であるものの、画家自身はフランス美術界がドラクロワを称賛するようになって以来、信望者の画家たちが大挙として訪れていたアルジェの雰囲気に多少、辟易していたようである。
  しかし、それでも本作の燃えるように強烈な陽光の描写やアルジェ独特の風土感、喧騒とした祭事の表現はルノワールの画家としての偉大さが良く表れている。

2017年8月21日 (月)

ルノワールの作品の中でも本作は特に注目すべき作品として重要視されている

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 特に観る者と視線を交わらせる女性の豪華な白黒の縦縞模様の衣服や上品に輝く(何重もの)真珠に首飾り、アクセント的に彩りを添える胸元の(おそらく隣の男から贈られた)薔薇の花束などは女性の優雅な美しさを強調するだけでなく、女性そのものの魅力を観る者により強く印象付けさせることに成功している。
 また女性の背後でオペラグラスを上空へ向ける男は舞台を眺めるのではなく、おそらくは女性又は有名人が座る他の桟敷席の観客を眺めている。これらの行動は当時の近代生活における日常を見事に描写したものであり、その点でもこの頃のルノワールの作品の中でも本作は特に注目すべき作品として重要視されている。

2017年7月10日 (月)

約25万円の“超高級”バーガー

日本円で約25万円もする超高級ハンバーガーを生み出したシェフがいるようだ。
オランダのハーグにある「サウス・オブ・ヒューストン」のシェフ、ディエゴ・ビュイック氏が作りだしたそのバーガーは、和牛とブラックアンガス種を使用したパティに、ジン風味のロブスター、フォワグラ、トリュフ、チーズ、日本原産トマト、キャビアに、35匹のロブスターで作ったソースが金箔付きのブリオッシュのバンズにはさまれている。
5月28日の国際ハンバーガーデーを記念して作られたそうで、ビュイック氏本人は世界最高の味とは思っていないようだ。
「ロンドンにあるバイロンで食べたハンバーガーが1番美味しかったです。ブリオッシュのバンズにビーフとベーコン、オリジナルのソースにトマト、レッドオニオン、熟成されたチェダーチーズでしたね。それで約2000円くらいでしたよ」と話している。
ビュイック氏の超高級バーガーはレストランのメニューには載っていないものの、事前に申し込めば注文可能だという。

2017年6月10日 (土)

ドガの類稀な観察眼が良く示されている

フレンチ・バソン奏者デジレ・ディオーの姿。1868年から翌1869年にかけて手がけられた本作は、パリの最も著名な歌劇場のひとつ≪パリ・オペラ座≫付属の管弦楽団を画題とした作品で、ドガの類稀な観察眼が良く示されている。
画家の友人チェロ奏者ピレの姿。ドガは当時のパリ・オペラ座管弦楽団員で、フレンチ・バソン奏者のデジレ・ディオーやチェロ奏者ピレと友人関係にあり、彼らの紹介によりしばしばオペラ座に通うようになったことが知られている。
幻想的かつ近代的な踊り子の印象。本作はドガが1870年代から盛んに取り組んだチュチュ(バレエで踊り子が身に着ける軽い襞のついた衣服)を着た踊り子を始めて描いた作品であり、特に重要視されている。
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2017年5月10日 (水)

現在は作品の修復がおこなわれている

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  本作で用いられる色彩分割(絵具を混合させない筆触分割)技法は、明確な形状や描くには適さないものの、その形象を表現するのには非常に効果的な技法であり、本作の水面に映る影の描写は特に秀逸の出来栄えを示してる。また本作の明瞭な色彩による光の表現や瑞々しいアルジャントゥイユの風景の描写も大きな見所のひとつである。

  画家は本画題を複数制作しており、ワシントン・ナショナル・ギャラリー(該当作品)を始めとした世界の美術館が所蔵している。なお2007年10月8日未明に若者の男女5人が本作を所蔵するオルセー美術館へ侵入し、本作の橋脚部分下部を約10cm破損させたという事件が起こったものの、後日、犯人は逮捕されたほか、現在は作品の修復がおこなわれている。

2017年4月10日 (月)

ボリビア、コカ栽培を拡大する新法案が成立

  南米ボリビアのエボ・モラレス(Evo Morales)大統領は8日、コカインの原料となるコカの栽培を拡大する法案に署名した。
 先月議会を通過したこの法案をめぐっては、コカの栽培量が増えれば麻薬の密輸を助長しかねないとして物議を醸しているが、左派のモラレス大統領は警告を一蹴。1988年に米国の後押しで成立した、コカの違法栽培削減のため栽培地域を制限する法律の緩和に踏み切った。
 モラレス氏自身も元コカ農家で、ボリビア中部チャパレ(Chapare)のコカ農家団体のグループ代表を務めている。
 新しい法案では、コカの栽培面積の上限が1万2000ヘクタールから2万2000ヘクタールに引き上げられる。
 コカの葉は、ボリビアでは口の中でかんだり、コカ茶として飲んだりする一般的な嗜好(しこう)品。だが、麻薬組織はコカの葉から麻薬成分を抽出し、コカインを生産している。
 ボリビアはコロンビア、ペルーに次ぐ世界第3位のコカ栽培国。コロンビアとペルーは麻薬密輸撲滅を目指してコカの栽培量の削減に努めている。

2017年3月10日 (金)

観る者に高度的な空間の開放感を強調している

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  画面中央下部には右側へと湾曲するサン=シメオン農場への街道(農道)が配されており、道中には植えられた並木からこぼれる木漏れ日が林から落ちる深い影と見事な光彩的コントラストを生み出している。

  遠景となる画面奥(街道奥)には農場の母屋と思われる質素な建築物の屋根が描き込まれているほか、清々しい青空が広がっている。さらに街道(農道)の両端には背の高い木々が悠々と配され、観る者に高度的な空間の開放感を強調している(本作の縦長の画面構成は伝統的な風景画では珍しいアプローチであり、注目すべき点のひとつである)。

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