2018年3月26日 (月)

「一帯一路」に包囲網?独・仏高官、対抗策検討を示唆

 世界各国は、中国共産党が巨大経済圏構想「一帯一路」を通じて、各国で影響力を拡大しようとする野心に対して、強い懸念を示している。このほど、欧州連合(EU)有力国の高官らも、一帯一路に疑問の声を上げ、対抗策を講じる意向を示した。英BBC放送中国語電子版が19日報じた。
 ドイツのジグマー・ガブリエル外相は今月17日、国際シンポジウム「ミュンヘン安全保障会議」で演説を行い、中国当局の一帯一路政策を批判した。外相は、中国当局は同政策を利用して、「中国当局は共産党政権の利益に合った世界秩序の再構築を狙っている」と述べた。
 また、外相は「中露はこれまで絶えず、EUの分断をたくらんだ」と中国当局とロシアを名指して非難し、「中露はアメとムチでEU各国に圧力をかけ続けてきた」と指摘。
 ガブリエル外相は、中国の一帯一路を対抗していくには、EUの資金と投資基準で東ヨーロッパ、中央アジアとアフリカでインフラ建設計画を策定すべきだと提案した。

2018年2月24日 (土)

林檎に手を伸ばす子供

 アメリカ出身の女流画家メアリー・カサットの代表作『林檎に手を伸ばす子供(林檎に手を伸ばす赤ん坊)』。

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 本作は1892年に開催されたシカゴ万国博覧会(シカゴ・ワールズ・コロンビアン・エクスポ)内≪現代の女性≫館の壁画として制作された『知識と科学の実をもぎ取る若い女性』の習作的作品である。
 残念ながら『知識と科学の実をもぎ取る若い女性』は現在、消失しており、数点の写真が残されているのみであるが、それらから構図・色彩・画題的な比較をおこなった結果、本作が『知識と科学の実をもぎ取る若い女性』の習作的作品として疑う余地はない。
 自然主義的な写実性を感じさせながら、人物の存在感と迫力を強調するかのような力強く明確な色彩や筆致は本作の中でも特に注目すべき点であるほか、殆ど奥行きを感じさせない平面(二次元)的な展開や、高い基礎画力を感じさせる正確な輪郭線は、日本の浮世絵の影響を如実に感じさせ、観る者を魅了する。

2018年1月18日 (木)

アヌシー湖

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 近代絵画の偉大なる巨匠ポール・セザンヌの代表的な風景画作品『アヌシー湖』。

 本作は1896年7月、休暇目的で妻子と共にオート=サヴォア県(スイス近郊でもある)タロワールのアヌシー湖を訪れた時に制作された作品である。
 本作には画家がそれまでに殆ど取り組まなかった、典型的で崇高な(セザンヌ自身の言葉を借りると「つまらない」)アヌシー湖のピクチュアレスク的風景を、造形的視点で再構成し、絵画としての新たな自然的調和を構築しようする画家の取り組み(挑戦)が良く示されている。
 近景として画面左側に一本の大きな樹木を配し、中景となるアヌシー湖を挟んで遠景には小さな古城や険しいアルプスの山々が描かれている。画面左側の樹木の枝葉は遠景(の空)と溶け合うかのように渾然一体となっており、もはやそこに(古典的絵画の基本となる遠近法的な)距離感は感じられない。

2017年12月18日 (月)

ドイツ、揺れる環境大国

  “環境大国”のドイツが揺れている。
 「エネルギー転換」政策の下、再生可能エネルギーを大幅に普及させてきたが、温室効果ガス削減目標の達成は困難な情勢で、対応をめぐる議論はアンゲラ・メルケル首相が次期政権樹立でつまずく一因となった。膨らんだ電気料金もなお重くのしかかる。
 11月中旬、独西部ボンで行われていた気候変動枠組み条約第23回締約国会議(COP23)。登壇したメルケル氏の言葉は歯切れが悪かった。
 「気候変動は世界の運命にかかわる問題」。対策の重要性を訴える一方、こうも漏らした。「計画を具体的な手段で達成するのはドイツでも容易でない」
 ドイツは温室ガスの排出を2020年に1990年比で40%削減する目標を掲げ、再生エネも発電量の約3割を占めるまで普及した。だが、追加策がなければ、20年の削減は30~31%にとどまると民間機関が試算するなど、目標達成は難しいとの見方が強まっている。
 「環境保護の先駆者としての名声に打撃」。独メディアが10月に報じた政府の内部文書は、大幅に目標を割り込む可能性に強い危機感を示していた。
 「“環境宰相”は過去のもの」(環境保護団体)。COP23では目標達成への具体策を示さないメルケル氏に厳しい声も出た。だが、対策は当時、政権樹立に向けて山場を迎えた3党連立協議で難民対策と並ぶ主要な対立点で、メルケル氏は踏み込めなかった。
 ドイツでは褐炭を含む石炭がなお発電量で最大の約4割を占める。環境政党の90年連合・緑の党は対策の一環に石炭火力発電20施設の早期廃止を主張。だが、メルケル氏の保守系政党や中道の自由民主党は「最大でも10施設」と対立した。
 再生エネの生産は天候に影響されるため、同時に安定的な供給源を確保しておくことは不可欠。しかもドイツは22年に原発をすべて停止させる方針だ。「『脱原発』する中では過渡的技術として化石燃料は必要だ」。安定供給を重視する自民党のリントナー党首はメルケル氏の折衷案も受け入れず、連立協議の離脱を11月、表明した。

2017年12月 7日 (木)

心地よいリズムで垂直に並ぶ色彩

 港に停泊する赤い帆のヨット。制作された翌年となる1896年に開催された自由美学展に出品された本作に描かれるのは、フランス南部プロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール地域圏の保養地サン=トロペの小さな港の風景である。
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 心地よいリズムで垂直に並ぶ色彩。規律正しく配置されたかのように心地よいリズムで垂直に並ぶ色彩は、陽光の生み出した光の効果や、明瞭な光輝性、さらに強まる色度によって絶妙な調和に満ちている。
 サン=トロペの港の美しい街並み。本作に見られる非現実的ながら美しさと心象に溢れた展開は、スーラが提唱し、画家が決定的に影響を受けた科学的根拠(色彩学)に基づいた新しい描写理論から、それ以前のクロード・モネやギヨマンの典型的な印象主義的描写法への(ある種の)回帰とも考えられる。

2017年11月27日 (月)

ダビンチ作品に510億円

  イタリア・ルネサンスの巨匠レオナルド・ダビンチ(Leonardo da Vinci)作とされる約500年前の絵画「サルバトール・ムンディ(救世主、Salvator Mundi)」が15日、米ニューヨークで競売に掛けられ、美術品の競売で史上最高額となる4億5030万ドル(約510億円)で落札された。競売大手クリスティーズ(Christie's)が発表した。
 作品は、ダビンチが1500年ごろにイエス・キリスト(Jesus Christ)を描いたと考えられている。長年、贋作とみなされていたが、2005年に米国での競売の際に本物と鑑定された。その後、2011年に英ロンドンのナショナルギャラリー(National Gallery)で展示されて話題を呼んだ。
 現存するダビンチ直筆の絵画作品は世界に20作もなく、他は全て美術館などの施設に所蔵されている。
 出品したのは、ロシア人の富豪でサッカー・フランス・リーグASモナコ(AS Monaco)の会長を務めるドミトリー・リボロフレフ(Dmitry Rybolovlev)氏。作品はモナコのスイス人美術商イブ・ブービエ(Yves Bouvier)氏から1億2750万ドル(約140億円)で購入したが、後にブービエ氏が2013年に競売大手サザビーズ(Sotheby's)の競売で8000万ドル(約90億円)で同作を落札していたことが判明。リボロフレフ氏は詐欺に遭ったとしてブービエ氏を訴えていた。
 この日の競売では18分間にわたって激しい入札合戦が繰り広げられた。これまでの美術品の史上最高落札額は、やはりクリスティーズが手掛けた2015年のオークションで20世紀の巨匠パブロ・ピカソ(Pablo Picasso)の油彩画「アルジェの女たち バージョンO(The Women of Algiers, Version 0)」が記録した1億7940万ドル(約200億円)だった。今回はそれを大幅に塗り替えた。

2017年11月17日 (金)

ドン・キホーテ

  近代絵画の先駆的存在の画家のひとりアドルフ・モンティセリが最晩年に手がけた傑作『ドン・キホーテ』。

  本作はスペインの作家ミゲル・デ・セルバンテスが17世紀初頭に書き上げた、世界的に著名な騎士物語小説≪ドン・キホーテ≫を典拠に得て、同小説の一場面の中から最も有名な場面である≪風車への突入≫を描いた作品である。
  モンティセリはオルセー美術館が所蔵する『ドン・キホーテとサンチョ・パンサ』や『牛の番人(ドン・キホーテ)』を始めとし、≪ドン・キホーテ≫を画題とした作品を数多く手がけているが、本作には1870年代以降、画家が獲得した独自の作風(絵画様式)と、(本作が制作された)晩年期に画家が最も得意とした雅宴画風の趣きが良く表れている。
  画面右側に配されるドン・キホーテは疲弊しうな垂れる馬に跨り、丘の上の風車へと向かっている。
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2017年11月 7日 (火)

床の鉋かけ(床削り、床に鉋をかける人々)

 

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 印象派を代表する画家ギュスターヴ・カイユボットが手がけた最も有名な作品のひとつ『床の鉋かけ』。
 1876年に開催された第二回印象派展に出品された作品の中で最も重要な作品のひとつとなった本作に描かれるのは、新居の床を削るために鉋をかける三人の下層階級の労働者の姿で、極端とも言える程の遠近法による場面展開や自然主義的な現代性、幾何学的な画面構成などカイユボット独自の表現様式が随所に示されている。
 『床削り』、又は『床に鉋をかける人々』とも呼ばれる本作には、上流階級出身である画家が労働者階級の者を描くという、一見、矛盾のようにも感じられる画題が描かれているが、クロード・モネやルノワール(両者は労働者階級出身)とは異なるブルジョワ(富裕者)階級ならではの労働者に対する新鮮な視点によって描かれる場面表現は、第二回印象派展出品時、観者に衝撃を与えたと伝えられている。なお別の視点と構図から展開した同主題の作品もある。

2017年10月28日 (土)

JFK暗殺文書を公開、一部は機密扱いのまま

米国立公文書館は26日、ジョン・F・ケネディ元大統領の暗殺に関してこれまで機密扱いだった米連邦捜査局(FBI)や中央情報局(CIA)などの記録2891件をウェブサイト上で公開した。
トランプ大統領は直前になって、ケネディ元大統領の暗殺に関する記録の全面公開は見送る方針を表明。国家安全保障機関からの要請を受け、一部の記録は編集されると発表していた。
米政府高官によると、約300件の文書については、国家安全保障や法執行および外交関係上の懸念から、今後も非公開のままとする。
一部の情報を非公開としたことについてトランプ大統領は、「我が国の国家安全保障に取り返しのつかない損害が及ぶ事態を容認するよりも、そうした編集を受け入れるしか、選択肢はなかった」と弁明している。
ホワイトハウスは、トランプ大統領が情報機関に対して「前例のない透明性を要求」し、「編集を最低限に抑える」よう求めたと説明した。
トランプ大統領が一部文書の非公開を決めたことで、今後もケネディ元大統領暗殺を巡る陰謀説は消えないまま残る見通しとなった。事件に関する捜査結果に疑問を投げかけ、政府が事実の隠蔽に関与したとする説に火が付く可能性もある。
米政府高官によると、今回公開が見送られたのは、情報収集活動や法執行に関する具体的な内容が記された文書で、暗殺事件の捜査にかかわった人物の身元や、捜査当局への情報提供に果たした役割などの情報が含まれるという。
さらに、捜査にかかわった外国の連携組織についての情報も含まれている。
「大統領は、公開を延期するよう要請した機関から理由を聞き、そうした情報は保護する必要があると判断した」と当局者は説明する。
一部情報の非公開を求めた機関は来年3月12日までに、その情報が非公開基準を満たす理由について説明した報告書を提出する必要がある。
基準を満たさないと判断された文書は、同年4月26日までに公開を義務付けられる。

2017年10月18日 (水)

ニースの港

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  印象派の女流画家ベルト・モリゾの代表的な風景画作品のひとつ『ニースの港』。

  本作は画家が娘ジュリーの病気療養として滞在(1881-1882年)したフランスの南東部に位置する都市で、温暖な気候でも知られる≪ニース≫の港を描いた作品である。娘ジュリーが言葉に残しているよう、船(ボート)の上から港の方を見た視点(その為、波の影響により画面が僅かに右へ傾いたと考察されている)で描かたことが知られている本作は、画面の2/3が海面で占められており、如何に画家が船の浮かぶニースの海面の描写、表現に興味を惹かれ制作されたのかが示されている(それは画面左上へささやかに配される空の描写にも表れている)。

  特にモリゾ独特の荒々しく自由闊達な筆触による波の表現や、水面に映り込むニースの街並みや風景の抽象的表現は印象派の画家の中でも非常に前衛的であり、かつ類稀な独自性をも兼ね備えている。

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